面白半分 猫半分

人としての面白半分な日々と、猫とともに面白半分な日々。熊本在住。頭も半分、おバカさん。

松ちゃんのこと。

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多部未華子に似るET

 最近JR三角駅の入り口にコーヒーの移動販売車が停まっている。都会から移住してきた若者がコーヒーを販売している。1杯450円。

若者(ナイスガイ)がさわやかな笑顔で「コーヒーどうすか~」と声をかける。肥後の引き倒し、冷やかし、性悪オヤジの僕が「君のライバルはそこの自動販売機やな」と言う

ナイスガイは笑顔で返す。「自販機のコーヒーおいしぃすもんね~」

自称缶コーヒー評論家とうぬぼれる僕は、UCCのブラックが一番おいしいと教える。まずは彼のコーヒーを飲んでから言うことで、飲まずに勝手に不味いの上手いの言うのは駄目である。卑怯である。脳の都合で最近、カフエインレスしか飲んでいない僕は、明日、頼むべきなのだけど。スマン。飲んでから言うよ。

コーヒーにはうまいコーヒー、不味いコーヒーがある。専門店のオヤジにそういうと、みんな「いやいや、コーヒーの味は好みですから」と謙遜するが、でもさ、お店ののぼりにこだわりこだわりとか書いてあるじゃん。僕からすると、やはり、コーヒーにはうまい、まずいはある。ホームページではうんちく書いているのに、うちが一番うまいと言ってくれた方が、スッキリするではないか。俺は忖度しないことにしたから、やはり不味いものは不味いというよ。美味いものは美味いと。

要らぬ世話だが、その若者はこれからどうするか?列車の中で考える。一日、彼は最低20杯は売らないとだめだ。駅の乗り降り数の累計から、20杯売れるか?コーヒーにパン、お菓子を一緒に売り単価を上げる作戦はどうだ?そうそう、三角の特産品も。オレンジジュースにチョコはどうだ?うーむ難問だ。基本は売るだけでなく、売り続けなければならん。理想は自動的にリピーターを増やす仕組みが必要だ。単純に言えば、彼自身のキャラのストーリーを作り、その看板を使い、ネットでコーヒーの豆を売るしかないのだ。もともとコーヒーを売るのは相当ハードルが高い。奇をてらう方法も長続きしないしね。本当のこと言うとさ(苦笑) 僕は過去にコーヒーの通販で失敗した。そんな大失敗ではない。さんざんこだわりだの自家焙煎だの言ったって、つまり飲んでもらわないと話にならないのだ。負け惜しみだが、僕の周りで新しくコーヒーの通販で成功した人も知らないのだけど。

大阪に住む、長い付き合いの友人、松ちゃん(女性)は僕のニセ学生時代の友人だ。※松ちゃんはれっきとした大学生で卒業までちゃんとした。もともと文学部で、文章が好きで某広告会社に入社した。しかし、せっかく入った会社も長続きしなかった。天性の運転オンチで、免許とは名ばかりで帰社するたびに会社の車をぼこぼこにして、広告の営業に行けなかったのだ。それと売れる文章が書けなかった。小説は書けても。そこで松ちゃんは当時の某大先生の弟子として教室に通い、フリーのコピーライターになった。コピーライターの世界は厳しい。宿題はコピーを1000本書く!1000本ノックの特訓にも耐えたが、いくら努力してもヒットは打てないわけだ。とうとう食うに困った松ちゃんはなんとマネキンに大変身。デパ地下でいろんな食材の試食を進めるマネキンとなり、60還暦の本物のおばさんになるまで、関西一円のデパートやスーパーをまたにかけ、ヒョウ柄のおばちゃん、阪神ファンのオヤジを相手に連中の口にウインナー突っ込んで「美味い!」と言わせる、伝説のマネキンとなったのだ。

物が売れなくなった理由は景気が悪いのはもちろんだが、広告屋、コピーライターの仕事の質が悪いからだだろう。老いも若きも、屁理屈だらけ。実力がないのをごまかすだけで、真剣でないのだ。松ちゃんは「ちょっとそこの奥さん!」でてめえらより、何倍もマンツーマンで商品を売ってきたのだ。

そこでこの度、当社ではある新製品、手作り石けんのコピーを松ちゃんに依頼することにした。コンサル、プランナー、プランナー…なんぼのもんじゃい。うちには伝説のマネキンライター松ちゃんが居るわい!久しぶりに30分。喧々諤々(楽天の格安スマホに買い替えた)、電話で打ち合わせる。屁理屈不要、スーパーのポップのコピーの方が全然売る力があるではないか。

これまでの苦労を吐き出せ!一晩でワインの一升ビン飲みほした辛い夜を思い出せ!

だから、よくネット、SNSで全国のどこかで同じように駅前でさわやかにコーヒーを売るナイスガイの物語にあこがれるのは君やめたまえ、大きな勘違い。地域おこしの物語ももう飽きられた。あれは代理店の作り話さ。

「君のライバルはそこの自動販売機なんだよ」