面白半分 猫半分

人としての面白半分な日々と、猫とともに面白半分な日々。熊本在住。頭も半分、おバカさん。

「悪魔を憐れむ歌」

 

数年前のNHKで「孤独死」を取り上げている番組があった。マンションの一室。70歳過ぎた男性が孤独死し、数か月後に発見された。亡くなった男性の妹が見つかり、田舎から出て来た彼女はマンションの始末やら男性の死のあと始末に困惑していた。孤独死というのは亡くなった人の問題ではなく、亡くなった人の親族、関係者の問題なのだ。亡くなった男性の枕元にはビートルズのCDが積み重ねられ、僕が想像するに彼は大好きなビートルズの楽曲を聞きながら亡くなったのだと思う。つまり孤独な死ではない。ビートルズの全盛期、まさにその曲にガーンと衝撃を受けた現役世代の人なのだ。ビートルズは曲だけでなく、当時の社会情勢、若い世代の生き方にも大きな影響を与えた。ビートルズの解散は1970年、僕の生まれは1960年で、残念ながら、僕がものごころ着いた頃にはビートルズは存在しなかった。でも、今でもビートルズが大好きで65歳になっても、初期のCD「ヘルプ」に気持ちを支えられている時がある。

先月のニュースで話題になったのは1975年に起こった連続企業爆破事件で指名手配を受けた「桐島聡」容疑者が名乗り出て来て死亡した事で、公安の追っ手を逃れ、最後は病院のベッドで「孤独死」したのだけど、かれも当然、ビートルズを聞いていたのに違いない。もちろんローリングストーンズも、ボブ・ディランも、日本の演歌も八代亜紀も。

イスラエルのテルアビブ空港乱射事件が起こったのは1972年。国内では連続企業爆破、国外では空港乱射事件と世界は革命とやらで、たくさんの人間の血が流れた。

2024年2月、今もパレスティナではイスラエルによるホロコーストが行われ、その残虐なシーンは世界に配信されている。ネタニエフは3万人近い民間人を殺害した首相であり、戦争犯罪人なのだ。そんな重大殺害事件の犯人が堂々とインタビューを受け、更に殺戮を続けると宣言している。彼は連続企業爆破事件の犯人がアパートの地下でコツコツ作り続けた手製の爆弾ではない、超高性能の殺人兵器をアメリカから買い、堂々と試し打ちをしながら罪のないパレスティナの人々を殺戮している。

僕の頭が混乱するのは、桐島聡のニュースを見て、ニュースキャスターが識者がタレントが、彼のしでかした事を堂々と批判するのに、次のニュースで報道されるネタニエフの行為について何も語ろうとしない、無為さについてなのだ。

第二次世界大戦後、イスラエルのスパイ機関「モサド」は、当時ホロコーストを指揮したと言われるナチスの親衛隊隊員「アイヒマン」を逃亡先のアルゼンチンで捕まえ、絞首刑にした。さて、ネタニエフは捕まるのだろうか?罰を受けるのだろうか?ネタニエフの虐殺支援者のアメリカのバイデン、トランプ…イギリスのリシ・スナクは罰を受けるのだろうか?

今、ジョンが生きていたら、どんな歌を歌うのだろう?いゃジョンは死んだんだし、僕らが枕元で孤独に聴くのはビートルズじゃなくてストーンズの「悪魔を憐れむ歌」なんだ。