面白半分 猫半分

人としての面白半分な日々と、猫とともに面白半分な日々。熊本在住。頭も半分、おバカさん。

半分、白い。

 

頭の中が半分白い…白くなるかもしれぬ…白くなっているのかも知れぬ。

年末にラジオを聞いていたら、若年性認知症の人が出ていた。快活である。活動的である。NHKの全国放送の「若年性認知症」の特集、代表者として堂々出て来て、快活にしゃべれるほどの人格者である。その仲間の人々も参加。番組でワイワイやっている。

アナウンサーの人が「とても●●さん、認知症にみえませんね~」と笑いながら言葉を発する。その人は、会社を辞め、仲間と新しい事業を始めたばかりで発症したそうである。何故か計算が合わない、人の名前を忘れる…精密検査を受けたら若年性認知症だった。彼は仲間を募り、同じ病気の人同士で支えあう、情報交換するラジオ局を開局した。

認知症とは脳の一部が収縮していく病気で…まさか、まさか…もしやもしや…自分もそうかと思う時がある。調べると、悲しいかな治療薬はなく、余命も短いらしい。いやだ、いやだ…ついこの前の自分なら、受け入れたかも知れぬが…なんとも、もう少し生きてやらなければいけない事が出来た。

僕はもう63歳になったのだから「若年性」ではない、ただのどこにでも転がっているおじさん「認知症」なのだ…いや、なのかもしれない。

 

来月、2月の始めに1年に1回の脳のMRI検査がある。クモ膜下で右の脳の動脈に3個クリップを挟んでもらい命拾いした自分だが…半分…いゃ少し、白くなってきた。

数字が認識できなくなった。もちろん電卓使うから、間違えたりはしない、が、数字が頭にピンとこないのだ。駅で2番ホームのベンチに座り列車を待つ。時間が来て目の間に自分が乗るはずの列車が1番ホームに滑り込む。ああそうだ、この目の前の列車が自分が乗るはずの列車なのだ。なんで2番と1番を間違えるか…こんなことがあると意外とショックなのだ。自分にとっては自信をもって座ったベンチが間違いとは…自分史的には大事件だった。

消費税を8%で計算する。8%での計算は間違いないが、今は10%なのだな…何回も誤りを先方から、指摘される。

今日は何日ですか?と聞かれて、答えられないから、カレンダーを見て答える…頭の中に数字が引っかからない。だから今日は何月何日でも良い。

給料が少ないから「今月は節約せんとなぁ」とアマゾンの請求書を見てため息をつく。結構本を買うのだ。本を読んでいると、今日が何日か気にしなくていいから救われた気分になる。どんどん本を読んで、いらない本は寄付する。図書館で順番を待つ時間が自分にとってはタイムロスなのだ。

 

わが社は3年間に経理がヒステリーを起こし、突然会社を辞めたので、こんな頭半分白い僕が経理事務をしている不思議で危うい会社なのだが…2か月遅れの月次決算書を税理士事務所の女子が「まぁ、なんとかなりますよ」とガハハと笑いながら、「赤字ですよっ」と青いマーカーを引き決算書を渡す。「それと、自分の給与、先月振り込んでいるのを忘れてますよー」と付け足す。

ああ、給与が少ないのは、そうだったのか…「来月は頑張らないとね」と答える。逃げ出した経理は次の日、怪文書を持ち、熊本の菓子屋のモナカにテープで巻き付けパート陣に手配りして、又逃げた…いつも都合が悪くなるとそのことを思い出す。

こんな自分の会社がやっていけるのは、先代の社長がアル中で、持てるだけの財産を持ち逃げして最後に残した、ほんのわずかな「既得権益」があるからなのだが、その既得権益とやらも今年はなくなりそうで、いゃはゃ困った。

数字がきちんと認識できないのと、車の運転もそろそろ怪しくなってきた。真っすぐは走れるが、交差点で左右確認が出来なくなってきた。何か飛び出して来たら、そのままはねるだろう。自宅から事務所まで40キロ。田舎だから渋滞がないのが助かる。

 

半分白い…しかし、気になるというか、どうなるか、楽しみなのは、頭半分、白い領域に占められて、その入り口のドアを開けその世界に入った時、どんな世界が広がるのだろうか、もしパソコンのキーボードを打つ余力が残った場合、僕はその白い世界に展開される世界を、こうして打ち続けるのだろうか?いゃ、その世界が今度は自分の日常であり特に何も事件が起こらないのなら、何も書かないのだろうけど。

NHKのラジオには出れないだろう。いゃ、こんな気分では出してくれないだろう。

何を言い出すか分からないからね。

 

今度の2月、5年目のMRIの検査なのだ。検査日はメモのメモを見たら分るはずだ。

思い出せないのだけど。