面白半分 猫半分

人としての面白半分な日々と、猫とともに面白半分な日々。熊本在住。頭も半分、おバカさん。

悲しくてやりきれない

今日も暗いこころで、あり。大企業の末端の下請けの下請けが僕の仕事だった。その企業は昔から、目の前に大きな滝が迫っているのに、お偉いさんはいかだの上でどんちゃん騒ぎをしていると言われていた。今や帰りの燃料を積まずに、沖縄戦で玉砕するために出港する戦艦ヤマトのようだ。何がかっこいいものか。相変わらず司令官は一番高い見張り台で、豪華な食事をとっている。何が偉そうなものか。船はどんどん沈み、もう水を汲みだそうとしている船員もいない。この前、穴の開いたバケツを下げた部長さんと話す。彼女は若い部下を引き連れ、いろいろな取り組みに挑戦したが、その努力を司令官は無駄にした。今後の話は堂々巡りの末、完結。船はどう頑張っても、沈むのだ。

東京タワーを想像する。あの高い塔を形作るのはつまようじのような一本一本の鉄骨だ。その組み合わせが強固で、ちょっとやそっとでは塔は崩れないのだが、あの塔がぐにゃりと曲がり始めたら、一本一本を取り換えようにも取り換えようがないのだなー。

 

なんの後ろ盾もない僕は、戦艦の取り巻きの駆逐艦から小舟をだして荒海に漕ぎだした。そんな僕の姿を見て、塔の上の司令官は皮肉な笑みを浮かべた。何も僕だけ助かったわけではない、また大波がさらうだろう。その時はその時だ。ただ残念なのは今、沈みゆく戦艦の端っこで、穴の開いたバケツを片手に、僕に手を振る部長さんの姿が波の合間に見え隠れするのが、悲しくてやりきれないのだ。