面白半分 猫半分

人としての面白半分な日々と、猫とともに面白半分な日々。熊本在住。頭も半分、おバカさん。

象の船

昨日は博多でネットのセミナーに参加した。最近日が暮れるのが早く、脳の疲れもあるので、三角駅からJRで行くことにした。余裕を持ち出発の30分早く駅につく、と駅の向こうの海に、初めてみる象印のロゴのような変な船が見えた。2階建ての民家の屋根より大きな得体のしれないオブジェだ、灰色の巨大なつるんとした巨象。大きな旅客船の煙突か、工場の排気口か?普通の道は通れないから、海路で運ぶのか、なるほど。写真を撮りかけてやめて駅を見ると停まっている列車が動き出した。なんてことだ、30分も前に来たのに!もう間に合わない!急いで車に乗り列車を追いかける、途中での駅で追いつくが、今度は車のカギがない!失くさないように鞄の中の奥に置いたのだ、宇土半島国道57号線、鈍行三角線列車と、青い傷だらけのスズキイグニスとの激しいカーチェイス(汗)結局、熊本駅まで車で行き、新幹線に乗った。ぼくの脳はどんどん劣化しているのだ。

博多では昔の部下のツネちゃんと再開。ツネちゃんは通販会社の主要幹部で、親会社から次々と送り込まれてくる、自分だけ楽して助かりたいオジサンたちとの戦いに疲れ果て熊本に帰りたいと言う。給与●十万の社長さんが、朝から新聞広げ、タバコ吸いながら売り上げ、上げろと言うそうな。ツネちゃん、そんな泥舟、さっさと降りな!そんな話をえんえん2時間近くした。更に僕の脳は酸欠寸前、くらくらするが我慢して店を出た。

地下鉄を歩いていると、右耳から声が聞こえる「少年ジャンプは創刊40年をたってもアイドルを主人公にした漫画は書かれていない」まさか幻聴か?いよいよか。今度も耳元ではっきり聞こる。「少年ジャンプは創刊40年をたってもアイドルを主人公にした漫画は書かれていない」しつこいぞ、コイツめ、もういいかげんにしろ。また声がささやく「少年ジャンプは創刊40年をたってもアイドルを主人公にした漫画は書かれていない」まさかと思い、頭を右に振ると、鞄を背にした、オタクを絵に描いたような恰好をして僕の方に向かってにこにこしながら、つぶやいていたのだ。僕は悩んだ。彼に向かい「では少年サンデーはどうか、少年マガジンはどうなのか?」と聞き返えそうか、「それはどういうわけだ?」と詰め寄ろうか。すんでのところで僕は黙り込み、地下道での変な男同士の会話のシーンは消えた。彼は僕に向かって何の話がしたかったのか?まぁいい。セミナーの時間が近い。新聞社の10階の会議室に向かう。午後2時から夕方5時過ぎまでの長丁場。内容も濃く、だんだん頭の中が酸欠になり、くらくらする。博多在住の有名なプランナーの講師の話も面白く、地下鉄の男と仲間のような気がした。まぁいい。そんな感じ、ちょいとおかしい方が世の中楽しい。変な奴らとは現実に会わなきゃダメ。ネットでも無名の変な奴がうごめき、自分と違う考えの者を、徹底的に攻撃しすることで息をつないでいるが、電源を切ればお前らの存在は消えるのだよ。僕はリアルな世界の変な奴が好きだよ。期待していた懇親会、博多の夜もこのままだと、もう一度手術が必要かと迷う。結局、会をキャンセルし、一人熊本に帰る。帰路、博多の雑踏の中で、「国境なき医師団の募金」がありカードで募金する。(現金では受け付けてくれない)最後にスタッフの女性が手を握らせて下さいと、僕の手を両手で包んで感謝の握手をしてくれた。この彼女の手も戦場で患者、難民の血だらけの手を包んだのか。僕の存在は何も役に立たぬ。握手など無用と思いその行動には違和感があった。博多駅の地下街で早めの夕食を摂り、帰りの新幹線に乗り込む。ところがまた頭に異変が!目の前に新幹線が停まっているのに、体が動かず、乗ろうとしない。仕方なしに、次の列車に乗り込む。やはり今日は早く帰って寝た方がいい。窓から流れゆく夜景を見ながら、熊本に着き、車で自宅まで変える。ああ、なんとしてもあの巨象が見たい。灰色の海に浮かんだ大きな象。翌日、いてもたまらず、港まで出かけると、あの大きな巨体はどこにも見られず、昨日の昼に港を出たのか、象の影も形もなかった。