面白半分 猫半分

人としての面白半分な日々と、猫とともに面白半分な日々。熊本在住。頭も半分、おバカさん。

鍋ケ滝に10年ぶりに行った。

 

今や熊本阿蘇の人気スポットの鍋ケ滝に10年ぶりに行った。もともとへぞ曲がりな性格で、自分だけのお気に入りの場所が人気になったら行かない自分なのだ。(こういう性格の人は結構、損する)

 

10年前は知る人ぞ知る滝で、道沿いに案内板、駐車場もなく、道路わきに車を停め、道から滝に細くて滑りやすい小道をひたすら降りるのだ。道には滑り止めに使い古しのカーペットが敷いてあり、じとーっと湿った布の上に足をじとーっと踏み込んで降りるのだ。そうして、しばらく経つと目の前に空間が開けその奥に鍋ケ滝が現れる。

 

 

今回、僕の目の前に現れたのは当時のままの滝の姿だった。変貌したのは広い駐車場で、トイレ、売店、交通整理のおじさんも完備。受付も基本はネットでの予約で入る時間帯を選択し滝を見に行く。連休は予約も満杯だろう。もちろんずぶずぶのカーペットはなく、きちんと整備された階段と手すりがある。一直線の急な坂も、何度も道が折り返され、膝の悪い自分でも降りる事ができた。(すでに泥だらけのゴム長、ジャージにポロシャツの地元民風)

 

相変わらず困ったのは鍋ケ滝の写真の撮り方。どこから見ても鍋が滝。右に左に動いても鍋ケ滝。適当にレンズを変えて写真を撮る。折角、ゴム長を履いてきたのだけど、川に浸かって写真を撮ってもあんまり変化ないので諦めました。天候は曇り、時に小雨続き。他の観光客さんはカップル、グループで各自、スマホで写真、動画を撮る。

 

 

ちょっとホッとしたのは、全国的に有名になった割に、変な手が加えてなかった事。

 

阿蘇でも少し話題になると、地元の勘違いしたじい様たちが、あれやこれや景観を破壊するのだ。南阿蘇一心行の大桜も、テレビで有名になった数年後、桜の周辺のあぜ道は舗装され大駐車場に変わり、最後に桜の幹の周りはグランドゴルフ場になり、ただの桜公園になった。観光バスに乗り込んだ団体客が焼き鳥、くちゃくちゃ片手に、桜を見上げ写真を撮って次の場所に移動するだけの観光消化スポットになったのだ。

 

帰りに、ある道の駅で土産を物色するに建物の入り口に山野草が販売してあった。柱には熊本県絶滅危惧種(レットデータブック)の動植物のチラシが貼ってある。白いトレイに山盛りの苔が400円!(土付きで山から採集してきたのだろう) 家で飾っている苔と同じ苔が一盛り400円!とは安い!…と、さらに掘り出しもん、ないかいなと漁るに奥に発見。これぞレッドデータブックに紹介されている、某山野草の苗ではないか!価格は1400円!この子は着床率が格段に低い花、要するに抜いて他の場所に植え替えたら間違いなく枯れる苗。つまりどんどん絶滅する植物なのだ。外見が派手で珍しいので盗掘、違法販売が絶えず、今やレットデータブックに載ることになった。久しぶりに義憤で心が高まる、へそ曲がりな性格の自分だが、係の人を呼び、このチラシに載っているレッドデータブック山野草を、お宅では販売してあるが?とやさしく問い詰める。その若者は素直に謝罪し、あたふたしている。その会話に後ろから割り込んできた気のいい、地元のじいさんが「そがん花は、某場所にいっぱい咲いとるばいと」自慢する。(じいさん、勘違いしてるのか?)「あ―いっぱい咲いとると、ですかぁ」「ほんに、咲いとる」(いつの話だい?じいさん?)

 

鍋ケ滝もある意味、阿蘇の自然景観の「レッドデータブック」入りなので、せめて今のままの景観を保持して欲しいと思う。山野草と同じで絶滅したら、もう取り返しがつかない。「昔はああだった、良かった」と年寄りが自慢しても、聞かされる方は退屈なだけ。観光地も、山野草も、スマホで写真撮ったら、終わりではないよな。

 

※僕も歳は63歳で、世間的にはいっぱしのじいさんだが、短気の為、外見は50代なのだ。