あじさいの花の最後のひとしずく。

熊本もようやく梅雨入り。
先週から、車のハンドルを握ると、突然めまいのような症状が出て運転できない状況になってしまった。最初は車が揺れ出し、地震か?えらい風が強い?と感じたのだけど、そんなことはない、僕の脳内から発生しためまいが原因だった。熊本市内の事務所から僕の自宅まで川沿いの道に沿い帰宅途中だった。
その日はどうしたかというと、そのめまいを、我慢に我慢を重ね、渋滞の国道を通り途中の市のマクドナルドの駐車場で休憩。それでも回復しそうにないので家人の車で迎えに来てもらった。車の回収もあるので、更に20分程、頑張って運転し、更に家に近い公園の駐車場に車を停めた。
このめまいの恐怖というのは、6年前のクモ膜下の時の恐怖に近かった。この不安な頭の揺らぎが激しくなると、またクモ膜下が再発するかと思うとさすがに怖い。運転中に、症状が激化すると国道では大変だ。運転中は5分おきに左の路側帯に車を停め、深呼吸した。対向車、後続車…信号…ライトの反射光、左の街路樹の茂みの確認に意識が追い付かず、視野が狭くなる。体全体は浮遊したように落ち着かない。
いつもは、帰宅中のある奥まった公園に住む、地域猫の家族に僕は餌をやっていた。その子らの餌はどうしたらいいのだろう。その公園は県内では有名な紫陽花の名所なのだ。満開のニュースが報道度に、公園は一気に観光客で人と車であふれ、地域猫(シロ家族)チームは人間を警戒し、餌をもらいに行けない。シロたち、腹を空かせているだろうに。
めまいから1週間後の晴れた日曜日。勇気を出してカメラを持ち、シロ達への餌も積み込み、紫陽花公園に向かう。あ~どんどん、気分が苦しくなる…が、何とかその公園に着くも、満車、満員、予想通り車を停めるスペースさえない。車窓越しに見る紫陽花の色は梅雨前の真夏日の陽ざしに色あせたように見える。「やっぱり紫陽花は雨に濡れなくてはな!」そんな負け惜しみ、愚痴も出るが…帰りはどうする?…車が怖い…運転のプレッシャーが迫る。後続車が迫ると車を左に寄せ停車する。カチカチ…カチ…ハンドルにもたれ深呼吸。自分はいったい何をしに来たのだ。
カメラにはNikonのマクロレンズを付けている。癌にガーンのトクナガさんに教えてもらった、伝説のマクロレンズ(60m 2.8)で、文字が擦り切れたくらい使い込んだタマをネットで安価で買った。このレンズで撮った写真をトクナガさんに見せびらかす予定だった。
つくづく勘違いしたらダメだ。子供の運動会のリレーに突然抜擢され、いい年して、ええ格好みせたろうと、カーブを曲がるところで足がもつれ、転んで肉離れして担架で運ばれる中年過ぎたお父さんみたいに、すでにゴールのテープを切る事が出来ない僕ら老年チームはあと5年、元気でいられるはずはない。そんなレースの参加は止めて、残された時間を写真で楽しもうではないか、トクナガさん。
自宅に近づいた頃、突然、空が曇りだし雨がぽつぽつ降り始めた。なんと悪運の強い事よ。自宅を通り過ぎ、町内の秘密の紫陽花畑に向かう。ここは何も公園化されてない、ただのミカン畑の横の紫陽花の群落なのだけど、やはり色が違う。(有名な公園は花を植えすぎて色が薄いのではないか)早速、マクロレンズの出番…時々、他のレンズも使う。



花の雫が時折雨雲から差し込む陽光に輝く。あふれる雨の雫、雫。
濡れて美しく見える花は紫陽花だけなのだ。