面白半分 猫半分

人としての面白半分な日々と、猫とともに面白半分な日々。熊本在住。頭も半分、おバカさん。

秘密の花園

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下界では散々だらしない僕だが、山に行くとひと時救われる。病気や貧乏、背負うものがなければ、里山に引っ越すのだけどやむを得ない。毎週日曜日、ポツンと一軒家という番組を見て、全国どのくらいのオヤジが一人「何もなければ自分も山に引っ越すのに」というため息がもれるのだろうか。そのため息は日本上空に集まり、オヤジの頭上にシトシト雨を降らす。

 

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自宅から2時間。秘密の場所の秘密の花園。今の時期 ( おそらく2週間 ) しか見られないキレンゲショウマの群落。カメラを構えているうちに、更に幸運にもこれまた高山でしか見られない「アサギマダラ」の群れもやってくる。僕の頭上をひらひら舞いあがる。手持ちのカメラで、なかなかピントが合わずに苦戦する。「もっと落ち着いて!撮らないと!」

 

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アサギマダラは何故かキレンゲショウマの花の蜜を吸わない。キレンゲショウマ花の奥に顔を突っ込むのは大きなミツバチだけだ。

本当かどうか…アサギマダラは台湾と日本を渡る蝶で、今見るこの子は日本生まれで、これから海を渡る。さらに謎めくのは、蜜を吸う花は毒草で、体に毒の蜜をためることで鳥たちから身を守るとか…

 僕は自分で自分の毒を吸い吐く、なんとけったいな生き物だろうか。

マダラ君、君の体の黒い闇に記される純白の点々のなんと美しいことよ。

 

帰りに寄った村の食堂の棚には、知人の陶器が飾られていた。その陶器の話題をきっかけにして、その村に「昔和紙の作家が住まれていたことを知っているか?」と聞いたらその店のおかみは知っていると答えた。その作家は東京生まれで、いろいろあって熊本に流れ住み、手すき和紙の技術を習い、この村で工房を構えられて和紙を使った灯りの作品を発表され、海外でも高い評価を得られていた。

そのことをブログでたまたま知り、一度会いに行きたかったのだが、残念ながらガンで早逝された。亡くなってすぐそのブログは閉じられた。たまたまパソコンが壊れ、昔のパソコンを使っているとお気に入りにそのブログは登録されていた。

もう会うこともない、会いたかった作家さん、ぼくはこの村に来るたびにあなたのことを、時々思い出していますよ。会ったこともないのに。