面白半分 猫半分

人としての面白半分な日々と、猫とともに面白半分な日々。熊本在住。頭も半分、おバカさん。

マーガリンのこと。

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マーガリンはうちの猫のキジ猫3姉妹の中の雌猫。一番上をポンタ・オス猫2歳。

中がキナコ(ET)、末娘がマーガリンなのだ。なぜかポンタだけが大きく太って体重は5キロ近く。ETとマーガリンはがりがりで、いくら食べても太らない。この2匹は、だんだん毛の色が薄くなり、油分もなく、ツヤもなく、ぱさぱさ。生まれつき、何か障害があり、栄養が吸収できないのか、何か生命力が感じられない。幸薄い、姉妹なのだ。家猫の寿命は15年というが、そんなに長く付き合えないような気がしてマーガリンがやせたままうろうろしている姿を見るとおろおろする。ETもマーガリンも発情して夜泣きがうるさい。とうとう泣き止んだ頃を見計らい、駅前の動物病院に避妊手術をお願いした。マーガリンと呼ぶと、マーガリンはいつもかすかな声で返事をする。こんな変なオヤジがネコナデ声で呼ぶと、ニャーィと返事するマーガリン。昭和の大詩人、室生犀星が晩年に書いた小説「蜜のあわれ」という作品がある。教科書にも載る、定番の詩人、室生犀星だけど、晩年は詩にしても小説にしても何か力が抜けて、とてもいい感じなのだ。「蜜のあわれ」は老いた作家が家で飼う、金魚鉢の中の赤い金魚が若い女の子になり、作家といろいろ会話をするのだ。金魚の名前は「赤子」。いつのまにか、お小遣いをねだるようになり、わがままを言い、説教を言い、きれいな服をねだるようになる。金魚鉢の中の口をパクパクさせた赤い琉金は、プロの作家の手によれば赤いキラキラしたドレスやしっとりとした赤い帯を締めた和服の魅力いっぱい小悪魔のような若い女性に変身し部屋の中、街の中を自由に動き回るようになる。時に一緒にお出かけしレストランで食事、服をねだる。最後は作家が過去に付き合っていた女の亡霊が自宅前で待ち伏せし、「修羅場」を迎えるというような内容だった。作家の帰りを待ち伏せする女の霊は、金魚の霊でもある。数年前に映画化された。詩人も死期が近づくとこうなるのか。何とも言えない、艶めかしい、倒錯の世界。要するに、僕もそんな世界にあこがれているわけだが。金魚の代わりにマーガリン(苦笑)。僕も死期が近いかはどうかにしても、現実の世界のヒトとの付き合いよりも、僕にとっては猫どもとの付き合う時間が貴重な時間なのだ。猫族全員を見送ってからでないと、僕も死ぬわけにはいかぬ。日に日に、毛色が白くなり、子猫のおばあさんのようなマーガリン。もうすぐ抜糸。