面白半分 猫半分

人としての面白半分な日々と、猫とともに面白半分な日々。熊本在住。頭も半分、おバカさん。

オキツネ様の怪

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連休の早朝5時頃、1階に住む老母より、叫び声がする。

「1階に白い猫がおるっ!」

まさか…そもそも、うちには白い猫は居ないのだ。

「それでも声がする、足元に白い猫が走った!」

目が覚めないまま、フラフラと1階の部屋を探す。

もちろん、どこにもない。探すふりをして2階に上り、寝床に戻る。

で、目が覚めると、2階に住む猫が行方不明になっている。2階の猫はみんな臆病で、人の影、声がするだけで押し入れに隠れて出てこない。ところが、朝、餌の時間になっても2匹の姿が見えない。

宇宙猫ETと、尻尾の曲がった乙女猫「マーガリン」の2匹だ。

二人とも今年の9月で人間で言えば18歳の高校生、ようするにJKなのだが。柄はくすんだ灰色のキジ猫。まさかあの二人が、何時どうしてどのようにして、部屋から逃げ出したのか。極私的に謎が深まる我が猫屋敷。母の足元を走る白い猫はETとマーガリンか。

母は言う、仏壇の前の父の写真が見るたびに移動していると。(きっと猫のせいだろうが)幻の白猫様の仕業か。翌日、廊下を徘徊しているETをまず保護、その翌日、押し入れの奥で怯えている、マーガリンを引っ張り出す。これで2階の猫の処理は済んだ。しかし騒ぎの翌日、泊まりに来た妹まで、

「部屋を走り抜ける白猫の姿を見たとの証言が出た。全身白で、顔には眉毛、麿様のような眉毛…」「まろ様?」

父の写真を移動させたのはマーガリンだろうが、その後も白猫の姿(まろ様!)が目撃されるなんて、謎は解けないままだ。

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 20日に地区で小さな祭りがあり、神社の階段を昇ると、暗闇の中、階段の上から白猫が降りて来たのだ。漁師の植杉さんの猫だ。体も大きく、座る姿はまるでオキツネ様なのだ。以前、その神社の階段を登った時、植杉さんの奥さんが方に、そのオキツネ様を乗せ、オキツネ様は背筋を伸ばし、オキツネ様そのものの姿に変身し、優雅に階段を人馬一体・・・人猫一体で降りて鳥居をくぐる姿は神々しいものだった。そしてその白い顔には麿様のような眉毛が…。その写真を見せると妹は麿様…といいながらも、確信がとれないようだった。母はこれ以上関わると祟りがあると思い込み始め、なにも口を挟まない。もし、オキツネ様が麿様であったとしても、あんな大きな猫が我が家に入り込み、見つからないはずはないし、台風後の暗いもやもやした雲に包まれる我が家であった。