面白半分 猫半分

人としての面白半分な日々と、猫とともに面白半分な日々。熊本在住。頭も半分、おバカさん。

猫の事務所

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ブログのタイトルを変更した。この前まで、ブログ閉鎖と言っていた自分だけど、やはり言いたいこと言わんと死ぬに死にきれないと思い、もやもやする頭の中で何とか再開した。「猫の事務所」は宮沢賢治の小品から借りた名前だ。

毎晩眠れなくてラジオを聞いていると、NHKラジオ深夜便で、「絶望名言」というコーナーがあることに気が付いた。強烈なタイトルだけど、意外や人気コーナーらしい。内容はそのものずばり、リスナーの絶望名言を集めて紹介するものだ。みんな聞きたいんだよなぁ。テレビのバラエティで笑えない人、気分転換できない人たちが、深夜、ラジオに投稿するのだ。

ある日、どうしても眠れない日に、そのコーナーで宮沢賢治を紹介していた。彼も若死にで、いろんな苦悩があったようだ。最愛する妹とトシ子の臨終時にささげた有名な「永訣の朝」

やさしくあをじろく燃えてゐる わたくしのけなげないもうとよ
この雪はどこをえらばうにも あんまりどこもまっしろなのだ
あんなおそろしいみだれたそらから このうつくしい雪がきたのだ
(うまれでくるたてこんどはこたにわりやのごとばかりで
    くるしまなあよにうまれてくる)

おまへがたべるこのふたわんのゆきに わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが天上のアイスクリームになって おまへとみんなとに
聖い資糧をもたらすやうに わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ

宮沢賢治はその詩の朗読の後ろに、「G線上のアリア」のレコードをかけて、その曲が終わると同時に、詩の朗読も終わるように計算して、詩を書いたそうだ。NHKのすごいところは、その実際のレコードを探し出して、実際アナウンサーが永訣の朝を朗読したのだ、

僕は枕を横に、布団をかぶりその詩を聞いたよ。そのあとに猫の事務所の作品の紹介があって、いろいろ悩むことの多い毎日、僕はその童話の中の「竈猫」(かまどに何時も眠り、そのために毛がいつも黒く、くすんでいる猫にあこがれた。話はその猫の事務所でいろいろあって、最後に事務所を訪ねる獅子が、一言、「この事務所は解散します」で終わるのだ。賢治も一言、「僕もその意見に半分賛成します」と述べる。

今さらながら、宮沢賢治についてあまり関心がなかった自分が、この小品をきっかけに、その世界に入っていきたいと思った、ちなみに、そのアナウンサーは年配で、「自業自得」で体に障害があり、コメンテーターの頭木(かしらぎ)弘樹さんは難病で障がいがあるそうだ。こんな番組聞けて本当に良かった、そして僕の脇の下には我が家の竈猫、寛太が居て僕の体を温めてくれている。だから再開するブログのタイトルは「猫の事務所」